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第41話 この兜は…… ~アグリサイド~

Penulis: 光命
last update Terakhir Diperbarui: 2025-04-17 20:37:19

しかしここまで派手にやってくれると、俺の出る幕がない。

楽して敵を倒せているんだからいいのだろうけど……

これじゃ何のためにこの世界にきたのかわからない。

ゾルダとフォルトナからは離れて一人でがれきの上に立った。

こんなところを探しても何か出るもんではないと思うが……

ただあの場には居づらかった。

この世界に俺は必要とされていないんじゃないか……

そんな考えもよぎってしまう。

「俺じゃなくても世界は救われるんじゃないか」

魔王だってゾルダが倒せばいいんだし……

そんなに頑張らなくてもいいんじゃないかな。

転移前の世界では周りに合わせて目立たないように生活をしていた。

過度な期待をされても嫌だし……

かといってきちんとやっていないとも思われたくない。

普通にしていた……

いや、頑張っても普通だったのかもしれない。

それをいきなりこの世界に連れてこられて

勇者に祭りあげられ

期待され

いつしかみんなの期待に答えなきゃと思って、気持ちが入り過ぎていたのかもしれない。

でもどんなに頑張ったって、ゾルダの足元にも及ばない。

これからは、そこそこ頑張って、あとはゾルダに任せよう。

そんなことを考えながら、がれきを動かしては何かないかを見て回っていた。

「おい、おぬし!」

ゾルダが残っている砦のところから、俺に話しかけてきた。

「なんだよ、ゾルダ」

「今更かもしれんが、ワシと比べるなよ。

 この世でワシと渡り合えるものなぞ、片手もおらん。

 どうやっても追いつくのは無理じゃからのぅ」

なんか見透かされたような言葉を放つ。

「ただ、おぬしはおぬしなりに成長しておる。

 そのままでいけばいいんじゃ。

 あまり深く考えるな」

確かにごちゃごちゃと考えてはいたけど、その物言いはないだろう。

「何を急にそんなことを言い始めるんだ」

「それはじゃのぅ……

 おぬしとはなんとなくじゃが感覚を共有している感じがするのじゃ。

 そのおぬしから、こう青い感じというか、こう滅入っている感じがしたものでな」

確かにゾルダの気持ちというか感覚がたまに分かるときが俺にもある。

それと同じ感覚なのだろうか。

「…………」

とは言え、言葉は出てこない。

「ワシは特別じゃからのぅ。

 敵わないからって、そう気に病むな。

 世界中の人がほぼワシには敵わないからのぅ」

ゾルダなりの励ましなのかもしれないが、ちょっと
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    昨晩はなんかすごく疲れていた。宿についてベッドの上で横になってからの記憶がない。ゾルダやマリーが俺の部屋でなんか話しているような気がしたが……朝になりベッドから起き上がると、部屋は静けさが漂っていた。ゾルダたち3人は自分たちの部屋に戻ったのだろうか。寝ぼけまなこをこすりながら、昨日デシエルトさんが言っていたことを思い出す。『明日落ち着いたらでいいんだ。 昼でも食べながら、今の状況について話をさせてほしい。 国王様からも話が来ているのでな』確か、そんなことを話していたと思う。さて……今はどのくらいの時間帯だろう。閉まっている窓を開けると、まぶしい日差しが入り込む。人々は街を行き来し、活気にあふれていた。まだ建物の修復が終わっていないところが多いためか、その作業に追われている人たちもいた。空を見上げると……日は高く昇っている。…………「あーっっっっっっっっっっっ」デシエルトさんとの約束の時間が……全身から血の気の引くのを感じた。一気に目が覚める。バタバタしながら出かける準備をする。落ち着けと落ち着けと自分に言い聞かせながら。準備が終わると、俺は部屋を出てゾルダたちを呼びに行った。先日はここでノックをしてすぐ扉を開けて大変だった。いわゆるアニメや漫画のお約束シーンのような出来事だった。さすがに今日は大丈夫だろうとは思うが、ここは慎重に。慌てずノックだけして、話をしよう。「コンコン」「俺だ。アグリだ」すると中からゾルダの声がした。「遅かったのぅ、おぬし。 今日は全員服を着ておるから安心しろ。 入ってきても大丈夫じゃぞ」ある意味普通のことだが、安心して扉を開ける。中を見渡すと、相変わらずゾルダの横にベッタリしているマリーと大きく伸びをしているフォルトナもいた。「遅くなってわるい。 昨日デシエルトさんに昼に屋敷にこいと言われていたのを忘れていた たぶんそのまま次に向かうと思うから準備して行こう」そうゾルダたちに伝えると、皆が準備するのを宿の外で待つことにした。準備はすぐに整い、全員でデシエルトさんの屋敷へと向かった。時間も時間だったので、急いで向かうことにした。ゾルダは特に気にすることもなく「もう少しゆっくりでもいいじゃろぅ そう慌てるもんでもないのにのぅ そんなのは待たせておけばよ

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    宿屋についたワシたちは、食事をすませて、一息をつくことになった。あやつもひどく疲れたようで、ベッドに横たわっておる。小娘の娘も背伸びをしながらくつろいでおるわ。さて、ワシはどうしようかのぅ。食事の時に少し飲んだが、それではまだ足りん。もう少し追加で飲みたいのぅ。こっそり持ってきた酒を器に注いで飲み直しはじめた。そこへマリーがやってくる。「ねぇ、ねえさま。 ゼドっちのやつ、何を企んでいたのかな」そう言いながら、ワシの器に酒を注ぎ足す。「うーん。 まぁ、細かいことはわからん。 言えることは、ワシが邪魔じゃったということじゃろ」ゼドは野心を抱いていたには違いない。何かしらでワシを引きずり下ろす手立てを考えておったのじゃろう。「でもそれなら、真正面からねえさまと戦えばいいのに。 ゼドっちは卑怯なんだから」そう言いながらマリーは口をとがらせて怒っておる。「ワシに歯向かっても勝てんからじゃろぅ」あの時点でも負ける気はしなかったからのぅ。今も負ける気はしないがな。だから小細工するのもうなずける。ただ何故隙を見て殺すのではなく、封印だったのかのぅ。封印だとあとあと解かれるリスクがある。そのリスクをゼドが認めるのかどうか……あやつからすると、その少しのリスクも回避したがるはずだしのぅ。まぁ、ただ殺せぬほどワシが強かったということやもしれぬが……そんなことを考えておったら、マリーはワシの顔の目の前にきた。「あと……あの男はなんですの。 なぜあいつがマリーの兜を持つと、マリーが出てこれるの?」マリーはベッドで寝ているあやつを指さしてワシに疑問を投げかける。「へっ?」あやつがマリーの言葉が聞こえたのか、ベッドの上で起き上がった。「もう、お前はマリーの兜を絶対手放すなよ。 お前が手放したら、ねえさまにくっつけなくなるんだから」あやつがベッドから起き上がる拍子に、兜がずれそうになるのを見かねてマリーがつっかかていく。しかし、マリーは何故にあやつのことになるとそうつっかかるのじゃ。そう嫌うほどのやつではないんだがのぅ。興奮気味のマリーを落ち着かせながら、封印のことでワシが思いつくことを話はじめた。「まだ全然わからないのじゃが…… ワシは封印を解くためのカギがあやつだと思っておる」この世界で封印を行う場合は必ず解

  • モブな転移勇者♂がもらった剣にはチートな史上最強元魔王♀が封印されている   第44話 イハルへ帰還 ~フォルトナサイド~

    ゾルダの正体の話もそうだけど、もう一人出てきたのはビックリしたなーただゾルダにベタベタしているマリーを見ていると、まずは出てこれて良かったなーと思う。これで一通りは終わったかなー前と同じでまた捕まってしまったのは良くなかったけど、結果オーライってことでーアグリも「まぁ、無事だったんだし、よかったんじゃないか。 一番の目的の人質救出は出来たんだし」と言ってくれたので、万事解決ーってことでいいかな。確かその後アグリもいろいろと話してたけど……「でも、前回もそうだけど、調子に乗って深追いはしないでくれ。 たまたま無事で、うまくいったからいいものの……」ちょっとブツブツブツブツうるさいんだよねー。うまくいったからいいじゃん。ただ心でそう思っても、アグリには悟られないように、反省の顔はしておこうーっと。一通りの小言が終わったアグリは、ため息をつきながら話し始めた。「気が重いけど、砦での状況も報告しないといけないし、 人質だったリリアさんたちも心配だし、イハルへ戻ろうか」人質はたぶん無事に戻れているはずだよね。何せ母さんの部下たちが動いているはずだから。今頃、捕まっていた領主さんたちも、解放されているはず。「砦の事はおいといて、人質はボクの母さんたちの部下もいるし、 無事街までたどり着いているんじゃないかなー」その話をすると、アグリはあぁ、あの時のという感じで思い出したような顔をした。「フォルトナは知っていたの? ここに突入する前に、背後で『ご心配なく』というので任せてきたけど……」「母さんならそうするかなーと思っただけ。 実際に会ってないし、来ていたのも見てないけど」ちょっと得意気な顔になったボク。さすが母さんだ。「ワシもひと暴れしたし、ゆっくり休みたいのぅ」ゾルダはけだるそうに伸びをしていた。マリーはというと、そんなゾルダを見て心配そうな顔をしていた。「ねえさま、さぞお疲れでしょう。 マリーがマッサージしてさしあげますわ」そうベタベタしてうっとうしく感じないのかなー、ゾルダは。ボクが気にしてもしかたないか。そしてアグリとボクとで一通り砦の状況を確認して、イハルの街へ戻っていった。街に戻ると、ボクたちは領主さんの家へ向かった。領主さんの家の庭先では泣いて抱き合う男性と女性と子供の姿が見えた。それを

  • モブな転移勇者♂がもらった剣にはチートな史上最強元魔王♀が封印されている   第43話 元四天王のマリー ~アグリサイド~

    たぶんこうなるとは予想出来ていたけど、なんか女の子が飛び出てきた。背丈としては小学生高学年から中学生ぐらいだろうか。青い目をして、青色の長い髪を両方で縛っている。所謂ツインテールだ。初音○クみたいな髪型だ。服装は黒を基調とした服に、レースやフリル、リボンがあしらわれている。現代で言うとゴスロリってやつだな。ゾルダが封印されている剣と似たような紋章がついたその兜には、どうやらゾルダの四天王の一人が封印されていた。名前はマリーと言うようだ。「ねえさま、ねえさま」甘えた顔をしてゾルダにベッタリとくっついている。ゾルダも悪い気はしていないようだ。「おぅ、いつ見ても、可愛いのぅ。 一人で怖くなかったか?」マリーの頭を撫でながら、ゾルダはマリーに問いかける。「暗くて、誰もいなくて、ずっと叫んでも返事もなくて…… もうあんなの懲り懲りですわ」眉をひそめたマリーが上目遣いでゾルダを見上げる。マリーはゾルダしか見ていないようだ。「あの…… マリー? でいいんだっけ? これに封印されていたってことは……」頭にのせた兜を見上げながら、マリーに確認をする。マリーは顔を膨らませ明らかに嫌だと感じる表情を浮かべる。自分の感情を隠しはしない。「そうよ。 マリーはねえさまの一番弟子よ。 人族からは四天王の一人と呼ばれているようですわ」やはりそうか。ゾルダの時と一緒の感覚を感じたし、ゼドに封印されたのだろう。「マリーはワシの一番弟子だったかのぅ…… 可愛さは一番じゃったが、実力は……」マリーが間髪入れずに言い返す。「そんなことないですわ。 力も他のみなさんにも負けてないですわ。 あれもこれもいろいろ…… マリーもいっぱいねえさまに尽くしていましたわ」ゾルダは目を細め、いつもより優しい声でマリーに話しかけた。「おぅ、そうじゃったそうじゃた。 マリーもワシの力になってくれたのぅ」マリーもゾルダほどではないが、力はあるのだろう。この俺なんかよりもよっぽど。「で、ねえさまは、このものたちと何をしいるのですか? ねえさまが人族と慣れ親しむなんて考えられないですわ」マリーは俺の方を向き、鋭い視線を浴びせる。なんかだいぶ敵視されているな、俺。「まぁ、いろいろあってのぅ…… 今はゼドを倒すために、あやつと行動を共にしてお

  • モブな転移勇者♂がもらった剣にはチートな史上最強元魔王♀が封印されている   第42話 ここはどこ? ~マリーサイド~

    『……さま……ねぇ……さ……』『ねえさま……どこ?』ゼドっちにこの兜に封印されたのはどのくらい前だったかな。誰かに拾われたり、捨てられたりして、あちこちに行ったけど、ねえさまは見つからない。ねえさまも同じようにゼドっちにされたのかな。でもゼドっちのやつ、なんでこんなことをしたんだろう。あの時のことを思い出すとムカつく。もーっ。ねえさまが大変だからって言ったからついていったのにさ。それが罠だったなんて。ゼドっちのやつー。プンプン。あれから、あちこち放浪して、今はどこかの倉庫の中にいるみたい。自分では動けないし、まずは誰かに見つけてもらわないとね。ねえさまが見つけてくれないかな。しかし、いつもは静かだったこの場所もなんかそうぞうしい。何が起こっているのかな。「ドドドドドドドドド……」けたたましい音が響き渡ってきた。本当にうるさいったらうるさい。「ボフっ……ガラガラガラガラ」挙句の果てに建物が崩れ落ちる音がした。この倉庫も大きく揺れていた。「ゴン、カラカラ……」マリーが封印されている兜が床に落ちた。『痛っ……』これまで何度も経験しているけど、落とされると何故か痛みが走る。『何がいったい起きたんだ、もう』暗闇の中だと何もわからない。外で何かが起きているのだろうが、知ったことではない。とにかくここから早く出たい。物凄い轟音の後は、静けさに包まれていた。不気味なほどに静かだ。昨日までは、うるさくないにせよ、誰かが行き来する声や音が聞こえていたはずなのに。『もしかして、誰もいなくなった?』『マリーはここに取り残されちゃうの?」長い間の封印されて、誰とも話が出来ないのはやっぱりつらい。ねえさまが一番だけど、まずは誰かと喋りたい。そんなことを考えていると、扉の開く音がして、光が差し込んできた。そこに立っていたのは一人の男だった。ブツブツいいながら、装備を一つ一つ丁寧に確認していっている。耳を当てたり、手で軽く叩いたりしていた。しばらくすると、マリーのところに来た。聞こえないかもしれないけど、思いっきり声を出してみた。『助けてー』ビックリした様子の男はとっさに手を引いていた。何かを感じた男は、再度マリーの兜に触ってきたので、ねえさまのことを確認しようと思った。『……さま……ねぇ……さ……』

  • モブな転移勇者♂がもらった剣にはチートな史上最強元魔王♀が封印されている   第41話 この兜は…… ~アグリサイド~

    しかしここまで派手にやってくれると、俺の出る幕がない。楽して敵を倒せているんだからいいのだろうけど……これじゃ何のためにこの世界にきたのかわからない。ゾルダとフォルトナからは離れて一人でがれきの上に立った。こんなところを探しても何か出るもんではないと思うが……ただあの場には居づらかった。この世界に俺は必要とされていないんじゃないか……そんな考えもよぎってしまう。「俺じゃなくても世界は救われるんじゃないか」魔王だってゾルダが倒せばいいんだし……そんなに頑張らなくてもいいんじゃないかな。転移前の世界では周りに合わせて目立たないように生活をしていた。過度な期待をされても嫌だし……かといってきちんとやっていないとも思われたくない。普通にしていた……いや、頑張っても普通だったのかもしれない。それをいきなりこの世界に連れてこられて勇者に祭りあげられ期待されいつしかみんなの期待に答えなきゃと思って、気持ちが入り過ぎていたのかもしれない。でもどんなに頑張ったって、ゾルダの足元にも及ばない。これからは、そこそこ頑張って、あとはゾルダに任せよう。そんなことを考えながら、がれきを動かしては何かないかを見て回っていた。「おい、おぬし!」ゾルダが残っている砦のところから、俺に話しかけてきた。「なんだよ、ゾルダ」「今更かもしれんが、ワシと比べるなよ。 この世でワシと渡り合えるものなぞ、片手もおらん。 どうやっても追いつくのは無理じゃからのぅ」なんか見透かされたような言葉を放つ。「ただ、おぬしはおぬしなりに成長しておる。 そのままでいけばいいんじゃ。 あまり深く考えるな」確かにごちゃごちゃと考えてはいたけど、その物言いはないだろう。「何を急にそんなことを言い始めるんだ」「それはじゃのぅ…… おぬしとはなんとなくじゃが感覚を共有している感じがするのじゃ。 そのおぬしから、こう青い感じというか、こう滅入っている感じがしたものでな」確かにゾルダの気持ちというか感覚がたまに分かるときが俺にもある。それと同じ感覚なのだろうか。「…………」とは言え、言葉は出てこない。「ワシは特別じゃからのぅ。 敵わないからって、そう気に病むな。 世界中の人がほぼワシには敵わないからのぅ」ゾルダなりの励ましなのかもしれないが、ちょっと

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